マイナンバ-制度について
2016年1月より導入が決定されている「マイナンバ-制度」。これまで住民票や年金番号、納税番号など、管轄ごとに別々の管理番号を使用してきた日本が、ようやく国民総背番号制を開始することになります。「そもそもマイナンバ-制度とは何か」「どんなメリットがあって、どんなデメリットがあるか」という視点でこの制度を見ていきたいと思います。今回は制度とメリットについてお話したいと思います。
1.マイナンバ-制度の概要
マイナンバ-制度は日本が2016年度から導入する個別の制度名で、一般的には「国民総背番号制度」と呼ばれています。すべての国民に個別の管理番号をつけ、それに基づいて社会保障や個人情報の管理など、行政の処理をすべて行うというものです。日本の制度の導入は世界的に見ればかなり遅れていて欧米諸国では多くの国がすでに導入しています。この制度の導入が検討されたのは1968年。佐藤内閣が「各省庁統一個人コ-ド」という名称で導入を検討しましたが、失敗に終わっています。
それがどうして今になって導入が決定したのか。2007年の第一次安倍内閣の際に、年金納入記録や個人情報などの管理のあまりのずさんさが露呈したことがきっかけになっています。様々な情報管理を管轄ごとの個別番号で行っていたため、情報のずれが生まれ、それによって情報管理にミスが生まれたという構造でした。このような状況を今後起こさないためにも、日本も国民総背番号制を導入する運びとなったのです。
2.マイナンバ-制度のメリット
内閣官房が公式に発表している制度のメリットは以下の3つです。
①公平、公正な社会の実現
②国民の利便性の向上
③行政の効率化
①公平、公正な社会の実現
社会保障・社会福祉は元来「弱者」のために存在するものです。例えば未成年者や障害者、お年寄りなどを守るためにあります。しかし法律や制度というものには必ず「フリ-ライダ-」と呼ばれる「負担すべきを負担せず、利益だけを享受する存在」がつきものです。またそれだけでなく、意図的に自分の所得や税金をごまかし、得をしようとする脱法者も少なからず現れます。いまだかつてこれらの問題を完全に解決した制度は存在しませんが、だからといって放置しておけば、前述のような弱者を守ることは出来ません。フリ-ライダ-や脱法者の存在を明らかにするためこそ、情報の一元化を進める必要があるのです。
②国民の利便性の向上
現在の管轄ごとの情報管理では、年金事務所から書類が来たと思ったら、同じような内容の書類が他の機関から届いたりと、受け取る側からすればうんざりするような現状です。これを一元管理すれば、行政側はもちろん、国民側にも非常に手続きが楽になるのです。また、これまで別々に管理されている情報はその行政機関に行かなければわかりませんでしたが、一元管理が確立されれば原理的にどこの機関に行っても自分の情報を引き出せるという状況になります。この意味ではマイナンバ-制度により国民に対する行政サ-ビスの水準は上昇すると考えられます。
③行政の効率化
3つのメリットの中で、最も大きいものはこれではないでしょうか。前述したように国民のもとには同じような手続き書類が重複して届くことがあります。行政側では個別管理しているので「重複していないことになっている」のです。一元管理が確立され、重複した内容の書類が送付されなくなるということは、その書類の情報を確認する人間、作成する人間、作業をする人件費や印刷代なのどの費用、すべてを省くことができます。これによってもたらされるメリットは、2つ目の国民の利便性の向上よりも比べものにならないほど大きいものでしょう。
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