税務・会計情報

欠損金控除改正

1. 改正の背景

世界最高水準にある我が国の法人実効税率の引き下げを進めることにより、日本の立地競争力の強化や我が国企業の競争力の強化、経済の好循環の実現を図るため、平成27年度から法人税改革に着手しています。
平成27年度は、経済の好循環の実現を後押しするために税率の引き下げが先行して行われます。
一方、法人税率の引き下げに伴い、課税ベースの拡大を図ることにより財源を確保する観点や、欠損金の繰越控除制度が課税ベースを大きく浸食している状況を改善ため、繰越欠損金の控除制度の見直しが行われました。

2. 改正の内容

(1) 控除限度額の引下げ等
青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度における控除限度額(改正前80%)が次のとおり、段階的に引き下げられます。

①平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する繰越控除をする事業年度又は連結事業年度・・・その繰越控除前の所得金額又は連結所得金額の65%

②平成29年4月1日以後に開始する繰越控除をする事業年度又は連結事業年度・・・その繰越控除前の所得金額又は連結所得金額の50%
なお、中小法人等については、従来の控除限度額のままとされました。

(2) 欠損金の繰越期間等の延長
欠損金の繰越期間等が10年(改正前9年)に延長されるとともに、次の措置が講じられました。

①帳簿保存要件
青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度等の適用に係る帳簿書類の保存要件について、欠損金の繰越期間の延長に伴い、その保存期間が10年(改正前9年)に延長されました。

②欠損金額に係る更正の期間制限
法人税の欠損金額に係る更正及び更正の請求の期間制限が10年(改正前9年)に延長されました。


3. 適用期日
4. 上記2(1)の改正は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度について適用され、上記2(2)の改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額について適用されます。

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