2015年度税制改正(法人税率等)
2015年度税制改正の関連法が3月31日、国会で成立しました
改正された内容のうち、今回は「法人税率の引下げ」のほか、昨年の改正事項である「地方法人税の創設」等につきまして、「税理士 中嶋昌啓」が担当いたします。
会計事務所では、3月決算の申告関係業務が既に始まっており、所得税等の確定申告時期に続く繁忙期になります。
お客様に税額報告をした際に、来年(平成28年3月期)の税率等を聞かれることがありましたので、中小企業の「平成27年3月31日決算(平成26年度)」と「平成28年3月31日決算(平成27年度)」の税率の違いについて、記載いたします。
1 法人税率の引下げ(平成27年4月1日以降開始の事業年度)
(1) 普通法人等
所得金額 平成26年度 平成27年度
年800万円以下の部分 15% 15%
年800万円超の部分 25.5% 23.9%
「年800万円超の部分」が、1.6%減税になります。(中小企業以外の普通法人も同様です)
「年800万円以下の部分」は15%で変わりませんが、本来、法人税法上「19%」と規定されていますが、租税特別措置法により、「平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度では15%」と定めらいていた期間が、2年間延長されました。
(2) 協同組合等(連結親会社である場合をの除く)
所得金額 平成26年度 平成27年度
年800万円以下の部分 15% 15%
年800万円超の部分 19% 19%
税率の変更はありませんでした。(「年800万円以下の部分」は、「(1)」と同様です。
2 地方法人税(国税)の創設・・・26年10月1日以後に開始する事業年度
この「地方法人税(国税)」の税率は、基準法人税額の「4.4%」です。
これだけだと、「増税」じゃないかと思われると思いますが、その分、法人住民税(「法人道府県民税」及び「法人市町村民税」)の法人税割の税率が、「4・4%」「減税」のなっています。
したがって、地方法人税(国税)は創設されますが、全体の税額は変わらないことになります。
3 法人住民税法人税割の税率の引下げ・・・26年10月1日以後に開始する事業年度
(1) 法人道府県民税法人税割(標準税率)
現 行 改 正
5.0% 3.2%・・・「1.8%」の減税
(2) 法人市町村民税法人税割(標準税率)
現 行 改 正
12.3% 9.7%・・・「2.6%」の減税
(1)+ (2)=「4.4%」
4 法人事業税及び地方法人特別税の税率の改正・・・26年10月1日以後に開始する事業年度
(1) 資本金1億円以下の普通法人等
現 行 改 正
法人事業税(中小法人、標準税率) 2.7% 3.4%
地方法人特別税(所得割額) 81.0% 43.2%
① 上記、法人事業税の税率は、中小法人の「年400万円以下の所得」に対するものです。
② 「付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額」、「収入割額」によって法人事業税を課税される法人についても、改正があります。
③ 税額計算(具体例)
この改正も、配分が変わるだけで、原則税額の増減はありません。
、(例)
事業税 地方法人特別税
現行・・・2.7%+(2.7%×81%)=4.887%
改正・・・3.4%+(3.4%×43.2%)=4.8688%
若干率が違いますが、「法人事業税」が「超過税率適用」の場合は、全く同じ率になります。
「2」以降については、「26年10月1日以後に開始する事業年度」から対象になりますので、通常の1年決算だと、今年の9月決算から適用されます。
心のつぶやき・・・「最初は戸惑うかも・・・(-_-;)」