税務・会計情報

馬券の払戻金に係る所得区分

 もうすぐ4月、徐々に暖かくなってきましたね。
 競馬の馬券の払戻金の課税関係について、これまでこのサイトでも何度か取り上げておりますが、平成27年3月10日に最高裁判決があり、競馬の馬券の払戻金は、雑所得に該当することが確定しました(これまで、競馬の馬券の払戻金は一律「一時所得」として取扱われてきました)。

 この判決により、国税庁からこの最高裁判決に関するコメントが掲載されました。

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<背景>
 これまで、競馬の馬券の払戻金については、臨時・偶発的な収入であることから、馬券の購入行為の態様等にかかわらず、一律に「一時所得」として取り扱っていました。この度、競馬の馬券の払戻金に関する最高裁判所の判決があったことから、馬券の購入行為の態様等を見て、払戻金が本判決と同様に「営利を目的とする継続的行為から生じたもの」と認められる場合には、所得区分を「雑所得」として取り扱うとともに、雑所得の金額の計算に当たっては、外れ馬券の購入費用も必要経費とするよう取扱いを改めることとしました。
<内容>
 本改正案においては、今般の最高裁判所の判決を踏まえ、競馬の馬券の払戻金が「営利を目的とする継続的行為から生じたもの」である場合には、一時所得に該当しないことを明らかにしています。その上で、馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当することを明らかにしています。併せて、上記以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することを留意的に明らかにしています。
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 今後は、パブリックコメント(意見公募:2015年03月25日~4月24日)の手続きを経た上で改正する予定となっています。また、法令上、「可能な範囲で是正を行うことが適当」であるとして、更正の請求を認める方針のようです。

 今回の最高裁判決は、一般の方が通常の方法で馬券を買って楽しむ場合には、これまでの課税方針が継続されるため、今後も一時所得として課税されることから、影響は無いと思われます。しかし、判決と同様の形で馬券を購入されている方にとっては、当たり馬券の購入代金だけでなく、外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金が必要経費になることから、所得金額を計算する上で大きな差が生じ、とても大きな改正となりそうですね。


所得税基本通達34-1
<改正後(案)>
34-1 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
(1) 懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く。)
(2) 競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から 生じたものを除く。)
(注)1 馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。
2 上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当 することに留意する。
(以下略)

<改正前>
34-1 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
(1) 懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く。)
(2) 競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等
(以下略)

【静岡の会計事務所 税理士法人 芙蓉会計事務所】

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