税務・会計情報

税務調査への対応策

 通則法の改正による国税調査の手続き変更にやっと慣れてきた感があります。堅苦しく他人行儀な印象は拭えないものの、紳士的な対応をして頂ける調査官にお会いすると晴れやかな気持ちになります。

 中小企業の調査が細かく報じられることはありませんが、大会社の税務調査及び税務訴訟は数多く報じられています。
 大型の税務訴訟が相次ぐなか、約4,000億円の申告漏れを指摘された日本IBMと国税当局が争った裁判で東京地裁はIBM勝訴の判決を下したとのことが報じられていました。自社株売買で発生した赤字を使った仕組みで専門家の間では国税勝訴の予測がされていたそうなので驚きはさぞかし大きかったことでしょう。
 日本IBMが国内の持株会社を通じて大量の自社株を買い取ることで、持ち株会社に生じた赤字と日本IBMの黒字を連結納税で相殺して納税額を約1,200億円圧縮したという申告。
 詳細は不明なうえ申告規模も大きいため、地方の税理士が何をかいわんやですが、このニュースの面白いところは通常は経理部が対応する税務調査に当初より弁護士が立ち会ったということ。日本屈指の税務弁護士を指名し、訴訟を見据えた対応を徹底しており、提出する証拠を厳選したうえでの対応で調査手続きに違法な部分がないかチェックしていたようです。
 判決ではIBMが国税に提出した証拠を絞った効果が表れ「不合理とまでは断定できない」「事業上の目的がないとは言いがたい」とのこと。そもそも国税側の主張は会社の行為に経済合理性はなく制度を乱用しているというもので、間違いを指摘するという類のものではありません。IBMによる、持ち株会社はグループ再編のためであり譲渡損を作り出す意図はなかったという反論に跳ね除けられたわけです。もちろん国税側は控訴しておりますので、このニュースの続きはいつの日かお伝えできることでしょう。
 なお、今回の節税手法は法改正により今では使えなくなっています(2008年の調査)ので、「当社も!」というご依頼はご遠慮ください。

 しら~っと税務会計情報に連ねてもらいましたが、10か月ほどの長期休暇から復帰して一か月強が経ちました。3月決算の喧騒も本日で一区切りしてホッとしております。
 専業主婦の10か月が懐かしくも遠く感じており、変わらぬ対応を続けて頂けるクライアントの皆様、並びに戻る場所を残しておいてくれた同僚に感謝している青島でした。今後とも税理士法人芙蓉会計事務所ともども宜しくお願い申し上げます。

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