税務・会計情報

消費税率引上時前後の会計処理

12月に入りました。
「師走」です。
会計事務所職員も、「年末調整」から「所得税等の確定申告」、「3月決算法人の確定申告」に向けて約半年の繁忙期に入りました。
今回は、4か月後になりました、消費税率の引上げ時前後の会計処理について、「1基本的な考え方」、「2経過措置」を「税理士 中嶋昌啓」が、記載いたします。

 経理を担当されている方は、3月から4月にかけて(場合によっては、それ以前から)、この支払いは、「5%?」「8%?」と悩まれることもあるかも知れませんので、参考にしてください。

1 基本的な考え方
 消費税率は、平成26年3月31日までが「5%」、平成26年4月1日以降は「8%」ということは、皆さんもご承知のところかと思いますが、3月31日(以下「年」省略)と4月1日を「またぐ場合」の消費税率は「5%or8%」のどちらになるでしょうか?

 例えば、
① ホテルに宿泊する場合で、3月31日チェックイン、4月1日チェックアウトの場合 
 ② コピー機の保守契約が、3月21日から4月20日の場合 等々
 
 原則的には、履行完了時に役務の提供が終了したことになり、上記①は4月1日、②は4月20日になりますので、いずれも消費税率は「8%」になります。


2 経過措置
 今回は「(1)旅客運賃等」及び「(2)電気料金等」について、ご説明します。

 (1) 旅客運賃等(旅客運賃等の税率等に関する経過措置の概要)
   事業者が、旅客運賃、映画・演劇を催す場所等への入場料金を3月31日以前に領収している場合において、当該対価の領収に係る課税資産の譲渡等が4月1日以後に行われるときは、当該課税資産の譲渡等については、旧税率が適用されます(改正法附則5①)。

この経過措置の適用対象となる旅客運賃等の範囲は、以下のとおりです(改正令附則4①)。
① 汽車、電車、乗合自動車、船舶又は航空機に係る旅客運賃(料金を含む。)
② 映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ又は見せ物を不特定かつ多数の者に見せ、又は聴かせる場所への入場料金
③ 競馬場、競輪場、小型自動車競走場又はモーターボート競走場への入場料金
④ 美術館、遊園地、動物園、博覧会の会場その他不特定かつ多数の者が入場する施設又は場所でこれらに類するものへの入場料金

 すなわち、4月1日以後の上記に該当する旅客運賃等については、3月31日以前に支払ったものは「5%」が適用されます。(受け取った場合(課税売上)も同様です。)


 (2) 電気料金等(電気料金等の税率等に関する経過措置の概要)
事業者が継続的に供給し、又は提供することを約する契約に基づき、3月31日以前から継続して供給し、又は提供される電気、ガス、水道水及び電気通信役務で、4月1日から4月30日までの間に料金の支払を受ける権利が確定するもの(平成26年4月30日後に初めて料金の支払を受ける権利が確定するものにあっては当該確定したもののうち一定部分に限ります。)については、旧税率が適用されます(改正法附則5②)。

 この経過措置の対象となるのは、次に掲げる課税資産の譲渡等のうち、検針その他これに類する行為に基づき料金の支払を受ける権利が確定するものです(改正令附則4②)。

① 電気の供給
② ガスの供給
③ 水道水又は工業用水の供給及び下水道を使用させる行為
④ 電気通信役務の提供
⑤ 熱供給及び温泉の供給

 ここでいう「継続的に供給し、又は提供することを約する契約」とは、電気、ガス、水道水の供給等を不特定多数の者に対して継続して行うために定められた供給規定等に基づく条件により、長期間にわたって継続して供給することを約するものをいい、例えば、プロパンガスの供給契約でボンベに取り付けられた内容量メーターにより使用量を把握し料金が確定するものも含まれます(経過措置通達5)。

 ここでいう「料金の支払を受ける権利が確定するもの」とは、例えば、電気、ガス、水道水等の使用量を計量するために設けられた電力量計その他の計量器を定期的に検針その他これに類する行為により確認する方法により、一定期間における使用量を把握し、これに基づき料金が確定するものをいいます(経過措置通達6)。

 すなわち、3月31日以前からの使用量等で4月1日から4月30日の間に検針等されたものは、「5%」が適用されます。(受け取った場合(課税売上)も同様です。)

 ただし、基本料(定額)、付加機能使用料及び通話料等を一括して利用者に請求する携帯電話(電気通信役務の提供)の料金は一定期間の通話量に応じて支払を受ける権利が確定するものですから、この経過措置の適用対象となりますが、インターネット通信料金などで、月々の使用量に関係なく定額料金となっている場合の通信料金は、使用量の多寡にかかわらず毎月、一定額を支払うものであり、検針等により料金の支払を受ける権利が確定するものではないことから、この経過措置の適用対象となりません(経過措置通達7)。











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