税務・会計情報

サラリーマンの経費(特定支出控除の特例の改正)

高校野球の甲子園出場校が増えてきた今日この頃。
わたしの母校は静岡県大会一回戦で姿を消しました。
夏の楽しみが一つ減ったそんな気分でいる松永が担当します。


【特定支出控除の導入背景】
サラリーマンの給与に対する所得税の課税は基本的に確定申告の必要がないように組み立てられており、また、制度上、所得の捕捉率がほぼ100%であることも特徴です。
 しかし、個人事業者=確定申告をする人の捕捉率は90%や40%、業種によっては10%とも云われており、このギャップに対する批判も多く、とうとう最高裁まで争う事態にまで発展しました。
 これを受けて、給与所得者にも限定的ながら特定支出控除を認め、確定申告の余地をつくることで批判を少しでもかわそうと導入されました。


【改正背景】
 鳴り物入りで登場した規定でしたが、実際の申告は年間20件程度に過ぎず、形骸化していた側面もあります。これは、対象範囲が限定的であり、何よりも給与所得者による給与所得控除が相当額認められており、この金額を超えるだけの支出がない限り適用を受けることが出来なかったからです。そこで実額控除の機会を拡大するため改正がなされました。


【内容】
 特定支出控除は、特定支出の額の合計額が給与所得控除額の2分の1(最高125万円)を超える場合、その超える部分について、確定申告を通じて給与所得の金額の計算上控除することが出来る制度です。平成25年分の所得税から改正後の規定が適用となります。


【特定支出の範囲】
1.通勤のための支出
2.転任に伴う転居のための支出
3.職務上の研修のための支出
4.資格取得のための支出で職務の遂行に直接必要なもの
5.配偶者との別居を常況とする単身赴任者の帰郷等のための支出
6.勤務必要経費(図書費・交際費・衣服費)

「書籍や新聞等の購入費用」「制服、事務服等の購入費用」「接待等のための支出」のような日常的に発生するものが特定支出に加えられ、さらに、金額的にも給与所得控除額の2分の1を超えるだけの支出があれば認められることとなり、若干受けやすくなりました。
 その他、従来NGとされていた税理士等の資格取得のための支出も範囲に含まれました。


【留意点】 
この規定は納税者単独の判断だけでは適用を受けられません。その支出が勤務先の業務に必要であることを証明してもらう必要があります。つまり勤務先への周知も必要な規定です。その辺りにも充分注意をしてください。

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