税務・会計情報

「消費税総額表示制度」の緩和

 静岡地方は、平年よりも13日早く、8日に梅雨明け(したとみられる)と気象庁が発表しました。
 前々回も書きましたが、これも異常気象なのでしょうか?(異常も続くと正常になるという単純なことではないように思いますが・・・!)
 今回は、消費税率が引き上げられる前提で法律化した、「消費税転嫁対策特別措置法(略称)」について、「税理士 中嶋昌啓」が担当します。

 消費税の創設時、税率の引き上げ時に問題となるものの1つとして、「消費税の転嫁(企業等間の転嫁、企業等から消費者への転嫁等)」が挙げられます。

 このため、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(消費税転嫁対策特別措置法(略称))」が6月5日に成立し、6月12日の交付されました

 この法律の概要は、次の5つからなります。
 
(1) 消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置
(2) 消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置
(3) 価格の表示に関する特別措置
(4) 消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置
(5) 国等の責務

 今回は、この中から、「(3) 価格の表示に関する特別措置」について記載します。

 平成16年4月から、消費者に対する「値札」や「広告」などにおいて価格を表示する場合には、消費税相当額(地方消費税相当額を含む)を含んだ支払総額の表示を義務付ける「総額表示(いわゆる、「税込表示」)方式」が実施されています。(消費税法63条)

 また、「総額表示」の義務付けは、消費者に対して商品やサービスを販売する課税事業者が行う価格表示を対象とするもので、それがどのような表示媒体によるものであるかを問いません。具体的には、以下のような価格表示が考えられます。
・ 値札、商品陳列棚、店内表示、商品カタログ等への価格表示
・ 商品のパッケージなどへ印字、あるいは貼付した価格表示
・ 新聞折込広告、ダイレクトメールなどにより配布するチラシ
・ 新聞、雑誌、テレビ、インターネットホームページ、電子メール等の媒体を利用した広告
・ ポスター  など
と例示されています。

 しかしながら、平成25年10月1日から消費税転嫁対策特別措置法第10条(総額表示義務に関する消費税法の特例)の規定により、期限(平成29年3月31日まで)等の制約はありますが、下記のとおり「総額表示制度が緩和」されました。

1 制度の趣旨
消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保及び事業者の事務負担への配慮の観点から,価格の表示について,特別措置を講ずる。

2価格の表示に関する特別措置
(1) 事業者は,消費税率の引上げに際し,消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じているときに限り,税込価格を表示することを要しない(総額表示義務の特例措置)。
(2) (1)により税込価格を表示しない事業者は,できるだけ速やかに,税込価格を表示するよう努めなければならない。
(3) 事業者は,税込価格を表示する場合において,消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは,税込価格に併せて,税抜価格又は消費税の額を表示するものとする。
(4) (3)の場合において,税込価格が明瞭に表示されているときは,税抜価格の表示については,景品表示法第4条第1項(不当表示)の規定は,適用しない。


 すなわち、「平成25年10月1日」からは、表示金額が「税込価格と勘違いされないように表示」すれば、「税抜表示」が認められることになりました。

(表示例)
 980円(税抜)
 980円+税
 税抜980円+税  など

 なお、具体的な表示例等は、今後国税庁等より示される予定になっています。

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