平成29年度税制改正の大綱の概要
昨年度末に平成29年度税制改正の大綱が発表されましたので、その概要を記載しました。
個人所得課税
○ 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
・所得控除額38万円の対象となる配偶者の給与収入金額の上限を150万円(合計所得金額85万円)に引上げ。控除額は逓減し、配偶者の給与収入金額約201万円(合計所得金額123万円)で消失
・納税者本人に所得制限を導入。給与収入金額1,120万円(合計所得金額900万円)で控除額が逓減を開始し、1,220万円(合計所得金額1,000万円)で消失
○ 積立NISAの創設
・積立・分散投資に適した一定の投資信託に対して定期かつ継続的な方法で投資を行う「積立NISA」を創設(年間投資上限額40万円、非課税期間20年。現行のNISAとは選択適用)
資産課税
○ 事業承継税制の見直し
○ 国外財産に対する相続税等の納税義務の範囲の見直し
○ 居住用超高層建築物に係る課税の見直し
○ 償却資産に係る特例措置の対象追加
法人課税
○ 研究開発税制の見直し
・総額型の税額控除率(現行:8~10%、中小法人12%)を試験研究費の増減割合に応じた税額控除率(6~14%、中小法人12~17%)とする制度に改組
・高水準型の適用期限を2年延長
・試験研究費の範囲に、新たなサービスの開発に係る一定の費用を追加
・特別試験研究費の対象費用や手続きの見直し
○ 所得拡大促進税制の見直し
・大法人について、平均給与等支給額要件の見直し(現行:前年度超→前年度比2%以上増)
・平均給与等支給額が前年度比2%以上増加した場合の控除税額の拡充(現行:雇用者給与等支給額の24年度からの増加額の10%→雇用者給与等支給額の前年度からの増加額の2%(中小法人12%)を加算)
○ コーポレートガバナンス改革・事業再編の環境整備
・法人税の申告期限の特例の見直し(会計監査人設置会社が事業年度終了後3か月を超えて株主総会期日を設定する場合に、最大4か月間の申告期限の延長を認める)
・役員給与等の損金算入要件の見直し(利益連動給与について、株価に連動したものや、複数年度の利益に連動したものを損金算入の対象に追加)
・組織再編税制等の見直し(事業の一部を独立会社とする会社分割等について、一定の要件の下で、組織再編税制の対象に追加)
○ 中堅・中小企業の支援
・地域中核企業向け設備投資促進税制の創設(地域未来投資促進法に基づく設備投資に対して特別償却又は税額控除ができる制度を創設)
・中小企業投資促進税制の拡充(中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等))について、中小企業経営強化税制として改組し、全ての器具備品・建物附属設備を対象に追加
○ 地方拠点強化税制の拡充
・無期かつフルタイムの新規雇用に対する税額控除額の引上げ等