タワマン節税の見直し
明けましておめでとうございます。昨年中は、顧問契約を頂いているクライアントの皆様を始め、平成27年の相続税改正に伴う申告増加などにより様々な相談・申告の依頼を頂きました。その一つ一つに誠実に対応してきたつもりではおりますが、振り返ってみると行き届かなかったと思うこともございます。昨年末に平成29年度の税制改正大綱が発表になっており、その内容は比較的小粒なものが多く、税務申告上大きな変更点はございませんが、近年益々複雑化する制度の中で、今後も必要とされる存在でいられるよう事務所一丸となって努力していく所存です。今後とも何卒宜しくお願い致します。
さて、昨年末発表された税制改正は、配偶者控除の見直しなどの変更はあったものの全体的には小規模の改正のように思えます。そのなかで、主に相続税対策として利用されてきたいわゆるタワマン節税に改正が入り一定の歯止めがかかりそうです。
居住用超高層建築物に係る課税の見直し
① 高さが60mを超える建築物(建築基準法令上の「超高層建築物」)のうち、複数の階に住戸が所在しているものについては、当該居住用超高層建築物全体に係る固定資産税額を各区分所有者に按分する際に用いる当該各区分所有者の専有部分の床面積を、住戸の所在する階層の差違による床面積当たりの取引単価の変化の傾向を反映するための補正率により補正する。
② 階層別専有床面積補正率は、最近の取引価格の傾向を踏まえ、居住用超高層建築物の1階を100とし、階が一を増すごとに、これに、10を39で除した数を加えた数値とする。
③ 居住用以外の専有部分を含む居住用超高層建築物においては、まず当該居住用超高層建築物全体に係る固定資産税額を、床面積により居住用部分と非居住用部分に按分の上、居住用部分の税額を各区分所有者に按分する場合についてのみ階層別専有床面積補正率を適用する。
(注)上記の改正は、平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物について適用する。
つまり、実際の取引価格では当然に高層階が高く、低層階が低いわけですが、今までは相続税や贈与税の課税ベースとなる固定資産税評価額は、面積が同じであれば高層階も低層階も同じ評価額となっていた。これを利用して、富裕層の間では節税策としてタワー型マンションを購入する動きが広がっていました。今回の改正により、高層階は低層階よりも固定資産税評価額が高くなることとなり、より取引価格=実態に則した課税が行われることになる反面、タワマン節税の効果が今までより低くなりそうです。