税務・会計情報

消費税増税の延期

昨日の参議院選挙で自民党が大勝しました。70年ぶりに選挙権年齢が見直され、18歳以上の国民に選挙権が与えられました。若年層の投票率が低いことから今回の選挙でも投票率が下がると予想されていましたが、前回選挙より数ポイント上回る投票率だったようです。その選挙において、自民党が信任されたことで、アベノミクス、憲法改正、消費税増税の延期等の政策が一定の評価を得たものと思います。

6月1日、消費税増税の延期が表明されました。消費税の納税義務者は事業者であり、消費者は負担者です。その事業者が納税する仕組みは、原則、消費者から預かったものを納税することになっています。したがって、消費税率が高まれば、事業者の負担は変わりませんが、負担者である消費者の負担は増すことになります。

その消費税には2つの特例的措置がなされています。1つは免税点制度、もう1つが簡易課税制度です。どちらも、中小零細企業の事務負担を考慮して導入されているものです。

① 免税点制度
その課税期間の基準期間(個人事業者の場合は原則として前々年、法人の場合は原則として前々事業年度。)における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。
(但し、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、ある特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合はその課税期間から課税事業者となる場合があります。)

② 簡易課税制度
実際の仕入れ等から仕入控除税額を計算することなく、売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる制度で、売上高に対する税額の一定割合(みなし仕入れ率)を仕入控除税額とするというものです。

みなし仕入率
第一種事業(卸売業)90%
第二種事業(小売業)80%
第三種事業(製造業等)70%
第四種事業(その他の事業)60%
第五種事業(サービス業等)50%
第六種事業(不動産業)40%

つまり、上記2つの制度は、中小企業の事務負担に配慮することで、結果として「益税」が生まれています。この本来納めるべき税額で納められていない「益税」は、数千億程度に上るという試算があります。

消費税1%による税収は2.7兆円程度と言われていますので、2%の増税を延期したことにより5.4兆円の税額が減少することになります。国民一人一人は消費税の負担者なので、自分の負担が大きくなる中で国全体の事をなかなか考えることができないのもやむを得ないことかと思いますが、平均収入の世帯における消費税増税の影響は、月額4,000円程度とも言われて言います。国は、その減収分に対する財源、消費税増税の前に行うべき歳出の削減、税制改正等を含め、数字的にわかりやすく国民に説明し、正すべきところを正したうえで増税の理解を得る必要があるのではないでしょうか。

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