土地とともに取得した建物の処理について
大阪国税局が平成28年3月1日に「土地とともに取得した建物の取壊しに伴う補助金等の税務上の取扱いについて(文書回答事例)」を公表しました。
建物を取り壊して土地のみを利用することを前提に取得した土地建物について、建物の帳簿価額及び建物取壊し費用は土地の取得価額に算入されますが、建物の取壊しに伴って交付される補助金は取壊し費用から控除することが示されました。
照会者は平成26年11月に土地建物を購入。当初から建物を取り壊して土地のみを利用する目的で取得したため、建物の帳簿価額及び建物の取壊し費用については土地の取得価額に算入することとしていました( 法基通7-3-6 )。
ただし建物の取壊しについては、その工事費用の一部について国及び地方公共団体から補助金・助成金(以下補助金等)の交付を受ける予定であり、この補助金等について土地の取得価額に算入する建物の取壊し費用から控除できるかどうかが照会されました。
法人が土地建物を取得した際に、当初から土地のみを利用することを目的に取得するなどして、取得からおおむね1年以内に建物の取壊しに着手した場合には、取壊し時の建物の帳簿価額及び建物の取壊し費用が土地の取得価額に算入されます( 法基通7-3-6 )。
本件の場合も、土地のみの利用を目的に平成26年11月に取得した土地建物のうち建物の取壊し工事を平成27年2月に始めて、その間建物を利用していないという事例です。従って建物の帳簿価額及び取壊し費用が土地の取得価額に算入されることとなります。
しかしながら建物の取壊しに伴って収入した金額がある場合には、その収入金額に相当する金額については、実質的には取壊し費用と相殺されることになるため、実際に支出した取壊し費用はその収入金額相当分を控除したものとなります。
本件の補助金等は、土地の取得によって交付されるものではなく、建物の取壊しに伴って交付されるもの、すなわち建物の取壊しに伴って生じた収入であるといえ取壊し費用から控除されます。
従って土地の取得価額には、取壊し時の建物の帳簿価額と補助金等の額を控除した取壊し費用が算入されることとなったのです。
参考 法人税基本通達7-3-6
(土地とともに取得した建物等の取壊費等)
法人が建物等の存する土地…を取得した場合において,その取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手する等,当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかである…ときは,当該建物等の取壊しの時における帳簿価額及び取壊費用の合計額(廃材等の処分によって得た金額がある場合は,当該金額を控除した金額)は,当該土地の取得価額に算入する。