税務・会計情報

小規模宅地の特例

平成27年1月より改正された相続税法により申告が必要となる相続の案件が増加していることは当初の予定通りです。改正前の様々な予測では、相続税の申告が必要な方が2倍以上になるという予測が多かったように思います。実際、改正前の相続税法では申告の対象ではなかった方が、改正後の相続税法により申告が必要となるため相談に来られる方も確かに多くなっています。

相続税には多くの特例が設けられていますが、もっとも多くの機会で適用される特例は「小規模宅地の特例」ではないでしょうか。最近相談を受けた方でもその適用が受けられないケースがありましたので改めて確認をします。

・被相続人の貸付事業用の宅地
相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で、次に掲げる要件のいずれにも該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます
① その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること。
② その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。

 したがって、申告期限まで貸し付けていない、もしくは譲渡等をしてしまい申告期限まで有していない場合は特例の適用がありません。
 また、マンション等で空室がある場合には、その空室に係る部分については原則的には特例の適用がありませんが、一定の条件を満たす場合には空室であっても特例の対象となる場合があります。

・被相続人の居住の用に供されていた宅地等
相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます
① 取得者が配偶者の場合
取得者ごとの要件はありません。
② 取得者が同居親族の場合
引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人。
③ 取得者が非同居親族の場合
被相続人若しくは相続人が日本国内に住所を有していること。
被相続人に配偶者がいないこと。
同居の相続人がいないこと。
その非同居親族が、相続開始前3年以内にその人又はその人の配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと。
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。

 したがって、特例が適用できるかできないかは相続する相続人により異なる場合があります。また、譲渡等をしてしまい申告期限まで有していない場合は特例の適用がありません。

 さらに、居住用財産の譲渡をした場合には、その譲渡益から3,000万円を控除することができる特例がありますが、対象となる家屋を自己の居住用としていない相続人が、相続をした被相続人の居住用財産を譲渡してもこの特例を受けることはできません。
 ただし、平成28年4月より空き家対策として創設された税制の中に、一定の条件を満たす被相続人の居住用財産の譲渡について3,000万控除を受けられる場合があります。弊社の税務会計情報にもこの税制に関する記載がありますので併せてご参照ください。

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