税務・会計情報

特定空き家と固定資産税

 全国的に問題になっている老朽空き家の解消を目指した空き家対策推進特別措置法が本年2月から一部施行され、5月26日に全面的に施行されました。

 「倒壊の危険」などの理由から市区町村長が「特定空き家」と判断すると、勧告などを経て最終的に解体・除去の行政代執行ができるようになったというものです。

 更に連動して土地の固定資産税の減免特例措置も除外されるなど空き家を放置していた所有者に厳しい規定が盛り込まれており、増加し続けるだけでなかなか進まない空き家解消の切り札に、と期待されています。

 議員立法で昨年11月に成立した同法は、空き家を「年間を通して居住や使用実績がない建物」と定義し、そのうち下記に該当すると市区町村長が判断したものを「特定空き家」とし、解体・除去の対象にできるようになりました。
 (1)そのまま放置すれば倒壊など保安上危険となるおそれがある
 (2)衛生上有害となるおそれがある
 (3)適切な管理が行われていないことにより景観上問題
 (4)周辺の生活環境を保つために放置することが不適切


 国土交通省の発表によれば,空家は全国で820万戸(25年10月1日時点)もあり、なかでも管理の不十分な空家が問題となっています。この対策として、市町村長が「特定空家等」とされる家屋の除却や修繕を命じたり、強制的に行ったりできるようにし、27年度税制改正で固定資産税の住宅用地特例についても平成28年度以降は特定空家等の敷地とされる土地を適用対象外としたようです。

 固定資産税の住宅用地特例とは、人の居住の用に供する家屋の敷地に対する固定資産税の課税標準額を通常の3分の1に減額するものです。さらに住宅用地面積が200㎡以下などの小規模住宅用地と認められる敷地の固定資産税の課税標準額は通常の6分の1となります。

 空き家であっても“人の居住の用に供する家屋”の敷地と自治体が判断すれば特例を適用できることから、土地の所有者は居住していない家屋についても解体して更地にはせず、そのまま空家の敷地として保有することが多いようです。居住の用に供されているか否かは判断が難しいため、これまで管理の不十分な空家でも特例の適用を受けている場合が多くありました。

 この状況が空き家増加を助長しているとのことで、今回の対応策となったようです。

 影響は甚大です。200㎡の土地(評価額2,000万円)に建つ1軒の空家が27年中に特定空家等と指定されたとすると従来(27年度分)の土地の固定資産税額は
  2,000万円×1/6×1.4%=46,000円
なのに対し、28年度分の土地の固定資産税額は
  2,000万円×70%×1.4%=196,000円 となります。
  15万円の負担増です!

 早期の対策をお勧め致します。

▲PAGETOP