税務・会計情報

平成27年度 税制改正大綱

 新年あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願いいたします。
 今回の担当は、「税理士 中嶋昌啓」です。
 
 「平成27年度 税制改正大綱」が、昨年12月30日に与党から発表されました。
 例年は、12月上旬に発表されますが、今回は、衆議院の解散、総選挙により日程が遅れていました。

 今後「税制改正大綱」の内容については、14日頃「閣議決定」され、今月末に招集される「通常国会」に上程、審議され3月中には成立する見込みです。
 国会での、与党多数の状況から、改正内容については、ほぼ変わらないと思われます。

 今回は、『贈与税の特例』として創設されました『結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置』について記載したします。
概略は、前回(次のページ)の『教育だけじゃない! 結婚・出産・育児!!』をご参照ください。

 この制度は、『教育資金の贈与(非課税)・・・※最下段に改正内容を記載しました。』と同様に、金融機関等に信託等を作成し、事前に非課税申告書を作成する等の手続き等が必要となりますので、下記の内容(税制改正大綱を抜粋)をご確認ください。

1 概要
個人(20 歳以上50 歳未満の者に限る。以下「受贈者」という。)の結婚・子育て資金の支払に充てるためにその直系尊属(以下「贈与者」という。)が金銭等を拠出し、金融機関(信託会社(信託銀行を含む。)、銀行等及び金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る。)をいう。)に信託等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者1 人につき1,000 万円(結婚に際して支出する費用については300 万円を限度とする。)までの金額に相当する部分の価額については、平成27 年4月1日から平成31 年3月31 日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さないこととする。

(注)上記の「結婚・子育て資金」とは、内閣総理大臣が定める次に掲げる費用に充てるための金銭をいう。
① 結婚に際して支出する婚礼(結婚披露を含む。)に要する費用、住居に要する費用及び引越に要する費用のうち一定のもの
② 妊娠に要する費用、出産に要する費用、子の医療費及び子の保育料のうち一定のもの

2 申告
受贈者は、本特例の適用を受けようとする旨等を記載した非課税申告書を、金融機関を経由し受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

3 払出しの確認等
受贈者は、払い出した金銭を結婚・子育て資金の支払に充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければならない。
金融機関は、提出された書類により払い出された金銭が結婚・子育て資金の支払に充当されたことを確認し、その確認した金額を記録するとともに、その書類及び記録を結婚・子育て資金を管理するための契約(以下「結婚・子育て資金管理契約」という。)の終了の日の翌年3月15 日後6年を経過する日まで保存しなければならない。

4 結婚・子育て資金管理契約の終了
次に掲げる事由に該当した場合には、結婚・子育て資金管理契約は終了する。
① 受贈者が50 歳に達した場合
② 受贈者が死亡した場合
③ 信託財産等の価額が零となった場合において終了の合意があったとき

5 終了時の取扱い
① 調書の提出
金融機関は、本特例の適用を受けて信託等がされた金銭等の合計金額(以下「非課税拠出額」という。)及び結婚・子育て資金管理契約の期間中に結婚・子育て資金として払い出した金額(上記(3)により記録された金額とする。)の合計金額(結婚に際して支出する費用については300 万円を限度とする。以下「結婚・子育て資金支出額」という。)その他の事項を記載した調書を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

② 残額の取扱い
上記(4)①又は③に掲げる事由に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した場合において非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額があるときは、これらの事由に該当した日に当該残額の贈与があったものとして受贈者に贈与税を課税する。
なお、上記(4)②に掲げる事由に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額については、贈与税を課さない。

6 期間中に贈与者が死亡した場合の取扱い
信託等があった日から結婚・子育て資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合には、当該死亡の日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額については、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、当該贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算する。この場合において、当該残額に対応する相続税額については相続税額の2割加算の対象としない。
なお、当該残額は、結婚・子育て資金支出額とみなす。


※ 『直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置』について、次の見直しを行った上、その適用期限を平成31 年3月31 日まで延長する。
① 特例の対象となる教育資金の使途の範囲に、通学定期券代、留学渡航費等を加える。
② 金融機関への領収書等の提出について、領収書等に記載された支払金額が1万円以下で、かつ、その年中における合計支払金額が24 万円に達するまでのものについては、当該領収書等に代えて支払先、支払金額等の明細を記載した書類を提出することができることとする。
(注)上記②の改正は、平成28 年1月1日以後に提出する書類について適用する。

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