教育だけじゃない! 結婚・出産・育児!!
教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置が好評だというニュースは既にお伝えしておりますが、更に「結婚・出産・育児」について新たな手当てが施されることとなりました。
12月16日政府・与党は、高齢者が子や孫に結婚や妊娠・出産・育児の費用をまとめて贈与する場合、贈与税を非課税とする制度を来年度から導入する方針を固めました。子や孫1人当たり1,000万円を上限に非課税枠を設ける方向で調整するようです。
個人金融資産の6割は高齢者が保有しているとされ、高齢世代から出費の多い若手世代への資産移転を後押しする制度の拡充で消費を促すとともに、子育て支援を強化したい考えからの政策。
現行制度では通常、子や孫1人当たり年110万円を超える財産を譲り受けた場合は贈与税がかかります。相続税法は例外として、結婚や子育て費用を含め「生活費」として必要なときに子や孫に渡した際に贈与税はかからないと規定していますが、「生活費」の明確な定義は無く、具体的な支出目的なく一括して渡す場合は贈与税課税の不安があります。
新たな制度では、祖父母や親が信託銀行などの金融機関と契約を結んで子や孫の名義で口座を開設し、資金を一括で預ける方法。預けたお金の使途は、結婚・出産・育児費用に限定し、領収書を信託銀行に出せば、口座から払い戻した分は贈与税を非課税となります。対象は2015年度から2017年度までの3年間に信託した分に限り、孫や子が50歳になった時点で口座に残っている分には贈与税を課税します。
・結婚費用(披露宴代、新居の家賃…300万円の上限)
・出産費用(分娩費用、不妊治療費)
・子育て費用(ベビーシッター代、保育料、病院の治療費)
一方、住宅購入資金を祖父母や親からもらった際に、贈与税がかからない優遇制度は今年末に期限を迎えますが、来年以降も延長し非課税枠を1,000万円から1,500万円に拡大する方向です。あわせて太陽光発電など再生可能エネルギー関連機器の購入費用を贈与した場合、贈与税を非課税にする「緑の贈与税制度(仮称)」も来年度からの導入が固まったようです。
政府は2013年度から、祖父母や親が子や孫に教育費を一括贈与する場合、1人当たり1,500万円を上限に贈与税を非課税とする制度を導入していますが、来年末までの時限措置となっています。信託協会の調べでは、教育資金贈与の受託件数は右肩上がりで増えており今年9月現在で9万件近くに到達。さらに伸びる余地があることから、2016年以降も3年程度、延長する方向で検討を進めています。
上記は12月30日にもまとめる2015年度税制改正大綱に盛り込むこととなります。