教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置 Vol.3
過去の会計情報で山田・松永が既に取り上げたトピックではありますが、期限延長となりましたので現状報告も含め再度ご案内させていただきます。
概要は以下のとおりです。
① 平成25年4月1日~平成27年12月31日までの間に、
② 直系尊属(親、祖父母等)が30歳未満の受贈者(子、孫等)の、
③ 教育資金に充てるために、
④ 金銭等を、
⑤ 信託銀行等の金融機関に信託をした場合、
⑥ 1人につき、1,500万円まで、
贈与税を課さない、というものです。
この度、平成27年12月31日としていた期限を2~3年延長することが決まりました。非課税対象の資金の使い道(使途)を出産や通学定期券など教育以外の分野にも広げることも検討されています。
正直…、私個人はお客様に説明したこともありますが反応はいまひとつでした。「一括贈与なんてしたくない。もらって当然って思われたくない。一年に一度は会いに来させなきゃ!お年玉くらいありがとうって言われて渡したい。」とおっしゃられた際にはただただ納得でした。
それが、現実は…
信託協会によると、平成25年4月から平成26年3月までの1年間の専門口座の契約件数は67,000件となり、二年間に見込んでいた54,000件を既に上回っているとのことです。契約額は月200億~500億円ずつ増えており、1年間で約4,500億円にもなっているというもの!
この取り組み…世の中には好評なんですね。私の周りではどなたも契約されていらっしゃらないと思っていたのですが。
4,500億円ってどんな金額?東芝の2016年度の連結営業利益が見込みで4,500億円。2020年東京五輪で都の会場整備費についての開催準備金は4,000億円。オリエンタルランドのテーマパークは14年度から23年度までの10年間で5,000億円の投資を行う計画。4,500億円のイメージつかめたでしょうか?
今制度の創設で普段の暦年課税の1.5倍の財産が生前贈与された計算らしいのです。
非課税限度額1,500万円の使途拡大は更に効果的です。
文部科学省の発表によれば、幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間において、すべて私立に通った場合の学習費(教育費+給食費+部活費の合計)は約1,677万円、公立に通った場合は約500万円だとか…。つまりすべて公立の「親孝行」な受贈者は教育資金が使いきれない可能性が濃厚です。塾・習い事は昨今高額との噂ですが、使途拡大は親世代には嬉しい話です。
現在の非課税対象は学校の授業料、塾や習い事の月謝などとなっているものを、出産費用やベビー用品の購入など子育て費用、通学定期券・留学の渡航費用まで広げる案があるようです。
いくつかの金融機関のサイトを確認したところ、管理手数料のほか契約時や払い出しにかかる事務手数料は無料。振込手数料も無料という記載も。
「無い袖は…」という返事しか想定できないので、自分自身の親には話したこともございませんが、話題の制度ですのでご説明・ご案内は何なりとさせて頂きます。
【関連リンク】 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税はこちら