一時所得とオリンピック報奨金など
会計事務所では、確定申告業務真っ盛りです
風邪などにはお気を付けいただき、あと2週間乗り切りましょう。
今回は、「一時所得」に該当して、確定申告をしなければならないものについて、4点ほど記載いたしますが、一時所得の所得金額の計算等は、前々回の山田税理士が記載した、「申告が必要な様々な所得」を参照してください。
今日の担当は、「税理士 中嶋昌啓」です。
1 オリンピック報奨金
結論から言いますと、本来「一時所得」に該当するものですが、現在は「非課税」として所得税等が課税されていません。
公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は、平成4年のアルベールビル冬季五輪から、五輪のメダリストに報奨金を支払い始めました。
しかし、同年夏のバルセロナ五輪で、当時中学2年生(静岡県沼津市立第五中学校)の岩崎恭子さんが200メートル平泳ぎで優勝した際に、一時所得として課税されたことをきっかけに、平成6年の税制改正でスポーツ振興を奨励することなどを目的として非課税とされました。
また、公益財団法人日本オリンピック委員会及び、公益財団法人日本オリンピック委員会の加盟競技団体(その団体の組織運営が適正であり、かつ、その金品の交付を適正に行うことができると認められるものとして文部科学大臣が財務大臣と協議して指定した団体に限られます。)がメダリストに支払う報奨金についても、非課税とされています。
※ 所得税法第9条(非課税所得)第1項第14号
「オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(平成元年八月七日に財団法人日本オリンピック委員会という名称で設立された法人をいう。)、財団法人日本障害者スポーツ協会(昭和四十年五月二十四日に財団法人日本身体障害者スポーツ協会という名称で設立された法人をいう。)その他これらの法人に加盟している団体であつて政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの 」
2 事業の広告宣伝のための賞金品
具体的には、「テレビのクイズ番組」、「雑誌等の懸賞」、「商店会の福引き」等の賞金品がこれにあたります。
なお、賞金品が物品で支払われる場合の評価は、「所得税基本通達205-9」に明示されています。
3 競馬や競輪の払戻金
昨年の、マスコミを賑やかしたケースは、大阪地裁の判決により「特殊なケース」として、「雑所得」と認定されましたが、原則は、「一時所得」とされており、また、「収入」は「払戻金額」必要経費は、「払戻を受けたレースの払込金」のみとなり、その他のレースの払込金は、必要経費になりません。
4 遺失物拾得者や埋蔵金発見者の受ける報労金等
昭和55年に、「銀座の道路脇で現金1億円入りの風呂敷包みを発見し、拾得物として警察に届け出」ましたが、結局、落とし主は現れず、1億円は拾得者のものになったものの、一時所得として、所得税を約3,400万円を納税した、という事件がありました。
以上、聞いたことはあるが身近ではないという内容でしたが、「税金雑学」とお考えいただければと思います。
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