出向命令への対応について
今世紀最高の視聴率を出したドラマ「半沢直樹」が最終回を迎えました。ラストシ-ンには納得がいかない視聴者の方も多いかと思いますが、続編に期待している「社労士の大城」です。
もしもあなたが最終回の半沢直樹だったら・・・
社長から、「関連会社のA社に出向してもらう。」と言われたらどのように対応すべきか解説します。
別会社への人事異動には、「出向」と「転籍」があります。「出向」は、今までの会社との雇用関係を維持したまま、別の会社の業務に従事する人事異動であり、本問がこれに該当します。
ちなみに「転籍」は、今までの会社との雇用関係を終了させ(退職)、新たに別の会社と雇用関係を結ぶ人事異動となります。
これが原則
1.出向を命じるためには、労働契約、就業規則や労働協約などの根拠が必要である。
2.業務上の必要性に比べ労働者に著しい不利益があると、会社の権利濫用となる。
出向を命じるためには根拠を必要とし、通常、労働契約、就業規則や労働協約などに「業務上の必要があれば、出向を命じる」旨の規定があると、会社は労働者に出向を命じることができます。しかし、規定を根拠に出向命令が認められるためには、出向条件が明確になっており、労働者に不利益にならないように配慮されている必要があります。
出向命令が、出向の必要性、対象労働者の選定が適切であるか等の事情に照らして権利濫用と認められる場合は、無効になります(労働契約法第14条)。
出向命令が、会社の権利濫用とならないためには、業務上の必要性と、出向により労働者が被る不利益とを比較し、均衡のとれたものであることが必要です。多くの場合、会社は不利益を軽減するための代償措置をとっていますが、出向は別の会社の指揮命令のもとで働くので、同一会社内での異動である転勤に比べ、より会社の配慮が必要となります。
ここを確認
1.就業規則や労働協約上の除外や規制があるかを確認する。
2.出向条件を確認する。
まず、就業規則や労働協約に出向除外の特例や事前協議の手続等の規制があるかどうかを確認します。
次に、出向先・出向期間・出向先での労働条件・復帰条件等を確認します。今までとは別の会社で働くのですから、労働時間や休日・休暇等の労働条件が異なる場合があります。労働条件が低下する場合は、不利益に対する代償措置のあり方が、業務上の必要性と比較され、会社の権利濫用かどうかの判断の基準となります。
こんな対応
1.業務上の必要性について会社から説明を受ける。
2.出向条件を確認し、労働条件が低下する場合は不利益の代償措置の内容を確認し、適用を求める。
出向先での労働条件、特に賃金や労働時間等を確認します。現在よりも労働条件が低下し不利益になる場合は、どのような代償措置が講じられるか確認し、できるだけ今までの労働条件に近づくように会社と話し合ってみることが重要です。