復興特別法人税の前倒し廃止議論について
先日、非嫡出子に対する差別的扱いに対して、違憲であるとの判決が出されました。今回はこの問題について書こうと思いましたが、最近話題の税制関連で、本当にこれで大丈夫なのかと個人的に疑問なのでそちらを取り上げます。
国税庁によれば、「消費税は、事業者に負担を求めるものではありません。税金分は事業者が販売する商品やサービスの価格に含まれて、次々と転嫁され、最終的に商品を消費し又はサービスの提供を受ける消費者が負担することとなります。」となっています。
最終消費者=個人と仮定すれば、消費税の増税分は個人の負担となるわけです。
また、ここ数日間、東日本大震災からの復興を目的とした復興特別法人税の1年前倒しでの廃止が議論されているようです。当然、復興が完了しているわけではないため、予定している復興のための予算が確保されているということなのでしょうが、このタイミングでの廃止議論はまたしても国民不在の税制である気がしてなりません。
復興税には、法人税以外に所得税と住民税があります。法人税が、通常の法人税額に10%上乗せで3年間の徴収、所得税は通常の所得税に2.1%上乗せで25年間の徴収、住民税は通常の均等割額に年1,000円の上乗せで10年間の徴収となっています。
今回議論されているのは、復興特別法人税のみのようです。個人は、所得税及び住民税で負担をし続けるわけです。
さらに、支払給与を一定割合増額させた企業には、法人税の減税措置がなされていますが、その条件を緩和させる方針のようです。
今回の一連の議論は法人減税を行い、支払給与を増加させることを意図しているわけでその狙いはもっともなのかもしれません。しかし、企業が減税等により得られた利益を従業員に還元させるというストーリーが必ずしも描けるわけではなく、さらに、法人税の減税措置は、一部の黒字企業に対しては影響があるのかもしれませんが、日本企業の多くは中小企業であり、その中小企業の多くは赤字法人です。
一部の大企業を優遇するような減税措置で、個人は、消費税増税の負担、復興税の所得税・住民税負担、中小企業に勤める個人の給与は増加しないという最悪のケースにならないことを祈るばかりです。もっといえば、消費税の滞納率は他の税金に比べ圧倒的に高いですが、中小企業が消費税増税分の負担をその提供するサービスに価格転嫁できなかったり、預り消費税を消費してしまうことで資金繰りが悪化したりすることで、給与増加以前に、勤める企業が倒産なんてことにならなければいいのですが。
復興税は復興財源に充てることが明確になっていますが、現在の増収分でその財源が賄えた時、その使途が明確に復興財源に充てられるのか、さらになぜ復興所得税及び住民税の減税ではなく復興法人税なのか、また支払給与の増加に対する減税措置ではどの程度の給与の増加を予定しているのか等、すでに公表されているものも含めてもう少し検討してみたいと思いました。