税務・会計情報

雇用規制緩和導入の検討

 明日は母の誕生日。自分も歳を取りましたが、今でも親には頭が上がりません。
 「親思う心にまさる親心」
 恥ずかしながらも感謝の気持ちを伝えようと心に決めた社労士の大城です。

 政府が東京、大阪、愛知の三大都市圏などを特区に指定し、雇用規制緩和を導入することを検討していると報じられました。最初は特区、大企業という形で始まり、徐々に全国化、中小企業にまで拡大していく可能性があります。この雇用規制緩和によって、労働条件を柔軟に決めることができれば労働市場が流動化し、新規採用の拡大、成長産業への労働移動が円滑に進みやすくなります。一方、賃金の低下や労働条件の悪化、日本が韓国化・ワタミ化・ブラック化になることが懸念されます。
 
①金銭解雇などの解雇規制の緩和
 企業が従業員に再就職支援金を支払えば解雇できる「事前型の金銭解決制度」の導入。

②有期雇用契約の柔軟化
 同じ職場で5年を超えて働く契約社員らは、本人が希望すれば無期雇用に転換しなければならない。この規制を緩める。

③法定労働時間の規制が適用されないホワイトカラ-エグゼンプションの導入
 企業の従業員は原則、労働基準法などが定める法定労働時間(1日8時間、週40時間)のしばりを、一定の条件を満たした社員には法定労働時間の規制を適用しない。

 日本企業の人事部がリストラ対象相手に行っている不毛なやり取りからは、解雇自由化は検討し得ると思います。しかし、日本企業の文化からは、解雇自由化とホワイトカラ-エグゼンプションが両方導入されると、危険だと思います。
 
 ・ホワイトカラ-エグゼンプション&解雇自由化で日本総ブラック化
 ・解雇自由化でも若者層の雇用は増えない

 役割・責任・権限が明確化されてなく、仕事を終えたら次から次に仕事が降ってくる日本企業の仕組みだと、ホワイトカラ-エグゼンプションによって、勤務時間は果てしなく長くなることが懸念されます。
 金銭解雇、残業代ゼロ、長時間勤務が認められたら、極限まで解雇で人数を絞り込んで、残った正社員を夜遅くまで働かせるのが最も合理的となります。日本全体がブラック化、ワタミ化する方向に行く可能性があります。
 また、日本の韓国化が進みそうです。韓国は1990年代金融危機によって雇用分野が徹底的に規制緩和され、夜遅くまで働く正社員と不安定な正社員という構図になりました。若者層は疲弊し切って子供を産まなくなり、少子化が進みました。
 解雇自由化とホワイトカラ-エグゼンプションがどうしても必要な制度なら、まず公務員(諸々の法人や機構を含む)から始めるべきだと思います。

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