みなし定額残業代の注意点
運動するには心地良い季節になってきました。先月、焼津みなとマラソンに参加した「社労士の大城」です。10キロ、50分切りが目標でしたが・・・終わってみれば51分台。次回のレ-スでは納得がいく記録が出るように、日々練習に精進したいと思います。
昨年来、研修会や勉強会等で取り上げられることが多い話題についてご紹介します。
みなし定額残業代を採用している企業が注意すること!
「固定残業手当」とは、給与にあらかじめ残業代相当額を固定的に含めて支給するものです。「みなし残業手当」などと呼ばれることも多いです。
そもそも残業代を毎月固定的に支給することは問題ないでしょうか?
本取り扱いについては、下記の要件を満たしていれば、合理的な手当として認められることとなります。逆に言えば、要件を適切に満たしていない「固定残業手当」は残業代相当額として支払っているとは認められず、他の手当と同様に、単に毎月固定的な手当を支払っているものとして扱われてしまうため注意が必要です。
(固定残業手当の要件)
1.就業規則又は給与規程に「固定残業手当」を残業代相当額として支給する旨の記載があること。この場合の手当名称は任意のため、どのような名称でも問題はないが、何時間分の残業代相当かということを明示すること。しかし、最近の監督署の傾向としては名称を「固定残業手当」にするよう指導しています。
2.労働条件通知書もしくは雇用契約書等において、支給される本人に周知すること。給与明細にて「基本給○円」「固定残業手当○円」と区別して記載することが望ましい。
3.固定残業手当を超過する実残業が発生した場合には、差額を支給すること。したがって、固定残業手当の仕組みを導入していても、実残業時間が固定残業手当が想定している残業時間を超過しているか否か毎月検証することが必要となります。
なお、平成24年3月8日に固定残業手当に関する最高裁判決が出ています。その中の裁判官の補足意見を参考にすると、前述の要件2.において、給与明細上で「基本給○円」「固定残業手当○円」「固定残業手当が想定している残業時間」を明示することまで求められてくる可能性があります。この補足意見に法的効力はないようですが、今後実務上では、大きな影響を与えることになると思います。今後、会社にとっては上記の条件を守ることが必要になってくるでしょう。