税務・会計情報

平成25年度税制改正(案)

 確定申告を終えた皆様、毎年のこととはいえ、終えられて「ほっと」されているのではないでしょうか。
 また税理士、会計事務所の皆様、確定申告時期お疲れさまでした。この後も1~3月決算申告時期は繁忙期が続きますが、お身体にはお気を付けください。

 今回は、「平成25年度税制改正(案)」について、どのような項目が対象になっているかを、全体的に記載いたします。
 担当は、いまさらですが来週誕生日が来ます、「税理士 中嶋昌啓」です。

 税金による収入は、毎年度の予算の財源を占めるものですので、税制改正(案)は予算関連法案として、予算(案)と一体で国会審議されるのが一般的です。
 また、予算は年度(4月1日から翌年3月31日まで)単位で決められているため、その年の3月31日までに決まらないと4月1日以降の支出に影響が出てしまいます。
 しかし、本年は、昨年12月の衆議院総選挙により政権が交代し、また、景気回復等のための24年度補正予算の審議が優先されたため、予算の成立は5月以降にずれ込む見込みですが、税制改正(案)は、3月1日(例年は1月末)に国会に提出され、予算案と切り離して優先して審議され、年度内(3月中)に成立する見込みです。
 前置きが長くなりましたが、「平成25年度税制改正(案)」の主な項目を抜粋して記載します。
 

個人所得課税
(1)所得税の最高税率の見直し
  ○現行の所得税の税率構造に加えて、課税所得4,000 万円超について45%の税率を創設
(2)金融・証券税制
  ○10 年間、500 万円の非課税投資を可能とする日本版ISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)の創設及び金融所得課税の一体化の拡充(公社債等の利子及び譲渡損失並びに上場株式等に係る所得等の金融商品間の損益通算範囲の拡大等)
(3)住宅税制
  ○住宅ローン減税を平成26 年1 月1 日から平成29 年末まで4年間延長し、その期間のうち平成26 年4 月1 日から平成29 年末までに認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)を取得した場合の最大控除額を500 万円に、それ以外の住宅を取得した場合には400 万円にそれぞれ拡充
  ○自己資金で認定住宅を取得した場合及び省エネ等の一定の住宅リフォームを行った場合の所得税の住宅投資減税について拡充
  ○個人住民税における住宅ローン控除について、平成26 年4 月1 日から平成29年末までの間、控除限度額を拡充(減収額は全額国費で補てん)
(4)復興支援のための税制上の措置
  ○高台移転を更に推進するため、一定の要件を満たす防災集団移転促進事業で行われる土地の買取りに係る譲渡所得に対し、5,000 万円の特別控除の創設
  ○東日本大震災の被災者が新たに再建住宅を取得等する場合、住宅ローン減税の最大控除額を他の地域よりさらに抜本的にかさ上げし、600 万円に引上げ(現行360万円)

資産課税
(1)相続税・贈与税の見直し
  ○相続税の基礎控除について、現行の「5,000 万円+1,000 万円×法定相続人数」を「3,000 万円+600 万円×法定相続人数」に引下げ
  ○相続税の最高税率を55%に引き上げる等、税率構造の見直し
  ○小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、居住用宅地の適用対象面積の上限を330 ㎡(現行240 ㎡)に拡大するとともに、居住用宅地と事業用宅地(貸付事業除く)の完全併用を可能とする等の拡充
  ○贈与税の税率構造について、最高税率を相続税の最高税率に合わせる一方で、子や孫等が受贈者となる場合の贈与税の税率構造を緩和する見直し
  ○相続時精算課税制度について、贈与者の年齢要件を65 歳以上から60 歳以上に引下げ、受贈者に孫を加える拡充措置
(2)事業承継税制
  ○非上場株式等に係る相続税等の納税猶予制度(「事業承継税制」)について、適用要件の緩和(雇用確保要件の緩和等)、負担の軽減(利子税の引下げ等)、手続きの簡素化(事前確認の廃止等)など、制度の使い勝手を高める抜本的な見直し
(3)教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
  ○子や孫に対する教育資金の一括贈与に係る贈与税について、子・孫ごとに1,500万円までを非課税とする措置を創設
(4)復興支援のための税制上の措置
  ○東日本大震災に係る津波により甚大な被害を受けた区域のうち、市町村長が指定する区域における土地及び家屋に係る固定資産税等の課税免除等を1年延長

法人課税
(1)民間投資の喚起と雇用・所得の拡大
  ○国内の生産等設備投資額を一定以上増加させた場合にその生産等設備を構成する機械装置の取得価額の30%の特別償却又は3%の税額控除ができる制度を創設
  ○環境関連投資促進税制について、その適用期限を2年延長するとともに、即時償却の対象資産にコージェネレーション設備を追加
  ○研究開発税制の総額型の控除上限額を法人税額の20%から30%に引き上げるとともに、特別試験研究費の範囲に一定の共同研究等を追加
  ○労働分配(給与等支給)を一定以上増加させた場合、その増加額の10%の税額控除を可能とする所得拡大促進税制を創設するとともに、雇用促進税制を拡充し税額控除額を増加雇用者数一人当たり20 万円から40 万円に引上げ
(2)中小企業対策・農林水産業対策
  ○商業・サービス業及び農林水産業を営む中小企業等が経営改善に向けた設備投資を行う場合に30%の特別償却又は7%の税額控除ができる制度を創設
  ○中小法人の交際費課税の特例を拡充(中小法人の支出交際費 800 万円まで全額損金算入)
(3)復興支援のための税制上の措置
  ○避難解除区域等における避難対象雇用者等を雇用する場合の税額控除制度、及び設備投資を行う場合の即時償却や税額控除ができる制度について、新たに避難解除区域等に進出する法人に同様の措置の適用

消費課税
 ○衝突被害軽減ブレーキを搭載した先進安全自動車に係る自動車重量税及び自動車取得税の特例措置の対象に5トン以上の一定のバスを追加納税環境整備

納税環境整備
 ○延滞税・利子税・還付加算金について、現在の低金利の状況に合わせ引下げ(地方税の延滞金等も同様に引下げ)

 
 ※以上、項目のみ抜粋しましたが、内容や施行時期等の詳細をお知りになりたい方は、「関連リンク」をご確認ください。

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