税務・会計情報

確定申告の基礎知識2

確定申告の基礎知識2

 先月24日には例年よりだいぶ遅れて税制改正大綱が発表され、この税務会計情報においてコメントさせていただいております。
検討課題であったものの対応は、相続税及び所得税の課税強化、贈与税の枠組み変更や消費税増税に伴う低所得者対応等概ね予想通りであり、細部についての取扱は続報を待つところであります。

 さて、2月に入りいよいよ確定申告の準備に入っていくわけですが、確定申告をする事業者が開業する時にまず検討するべきことの一つに「白色申告」か「青色申告」かがあります。今回はこの青色申告について要件及びメリット等を記載いたします。


1.青色申告の開始の届け
 様々なメリットのある青色申告ではありますが、事業を開始して無条件で選択できるわけではありません。その年分以後の所得税の申告について青色申告書の提出をしようとする場合には、その年の3月15日まで(その年の1月16日以降に開業した場合には、開業後2か月以内)に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。


2.青色申告の要件
①帳簿書類及び取引の記録
 各所得金額が正確に計算できるように、仕訳帳及び総勘定元帳等の帳簿を備え、すべての取引について正規の簿記の原則に従い明確に記録することが要求されます。通常は、市販されている会計ソフト等にすべての取引を入力することで、仕訳帳及び総勘定元帳の作成ができます。

②帳簿書類の整理保存
 仕訳帳、総勘定元帳や取引に関して発行又は受領した注文書、見積書等は整理して7年間保存する義務があります。

③青色申告書への書類添付
 青色申告書には、貸借対照表、損益計算書等を添付する必要があります。これらの書類は、会計ソフト等にすべての取引が正確に記録されている場合には、連動して作成することができます。


3.青色申告のメリット
 青色申告を行うことの主なメリットは下記のとおりです。

①青色申告特別控除
 青色申告書に青色申告特別控除額の金額を記載し、かつ、貸借対照表等計算明細を添付し、期限内に申告することで最大65万円の所得控除が得られます。
 
②青色事業専従者給与の必要経費への算入
 使用人に払う給料等は必要経費に算入することができますが、生計を一にする親族への給与は必要経費に算入ることができません。ただし、事前に青色事業専従者への給与について届出をしておけば支払った金額について経費に算入することができます。

③中小企業者の少額減価償却資産の必要経費への算入特例
 原則として、10万円以上の資産を取得した場合、減価償却資産として一定の方法により各事業年度において経費算入することとなりますが、青色申告者においては、30万円未満の少額減価償却資産については、年間300万円までは当該年度の必要経費とすることができます。

④純損失の繰越控除
 青色申告者である年度に生じた純損失については、翌3年間繰越てその各年度に生じた所得から差し引くことができます。


 その他にもメリットは数多く存在しますが、多くの事業者が対象となるものはこのようなところでしょうか。
青色申告をするには、帳簿書類その他必要書類の作成等に手間がかかりますが、かけた分以上のメリットを受けることができると思います。現在白色申告になっている事業者はぜひ検討してみてください。
 

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